投稿日:2005-10-23 Sun
空っぽの瓶を手渡された。「それが、今の君」
……ようは、何にも無いって事。
「うん、『今は』ね。これから、それをいっぱいにするんだよ」
言ってる意味が良く分からなくて、その人の顔をじっと見る。
「これから、君が大きくなって色んな人と出会って、色んな事を経験していけば、自然といっぱいになっていくよ」
やっぱり、良く分からない。けど、その人が言う事だから、多分本当なんだろうとも思う。
「多分じゃなくて、きっとだよ。きっと、次に会う時、その瓶の中身はいっぱいになってるよ」
……そうなのかな。そうだと、いいな。
「うん、そう……今、君がそう思った事で、ほら……ほんの少しだけど、中身が」
言われて瓶を見たら、小さな、欠片が一つ入ってるのが見えた。
「……ホントだ。ねぇ、色んな事、思ったら増えるの?」
顔を上げた時には、もうその人は居なくなってた。
……そこで、目が覚めた。ぼんやりした頭で、今の夢を思い出す。
「……多分、前よりは、欠片が増えてると思うよ。いつ、会えるんだろうね」
呟いたって聞こえる訳もないけれど。憶えているその人の顔に、そう報告してみた。
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